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東京高等裁判所 昭和59年(ラ)450号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

よつて判断するに、債権を目的として、担保権を実行し、又は担保権を有する者がいわゆる物上代位権を行使するためには「担保権の存在を証する文書」の提出を要する(民事執行法一九三条一項)ところ、右にいう「担保権の存在を証する文書」(以下「担保権存在証明文書」という。)とは、同法一九三条一項及び不動産競売についての同法一八一条一項一号ないし三号等関連法条の法意に徴し、当該文書自体から担保権の存在が担保権の実行を許容するに足る高度の蓋然性をもつて直接に証明される文書をいうものと解するのが相当である。

そこで、抗告人が原審及び当審において提出した文書が、抗告人主張の動産売買の先取特権の存在、その物上代位権行使の要件、すなわち、抗告人と三長株式会社(以下「破産会社」という。)との間における抗告人主張の綿商品布団用側地(以下「本件物件」という。)の売買(以下「本件売買」という。)を証明する叙上説示のごとき「担保権存在証明文書」であるか否かについて、順次検討する。

まず、抗告人作成名義の「売掛金勘定残高確認明細書」と題する書面(売掛金勘定元帳写に相当するもの)、債権届出書写、抗告人絹業部絹化合繊課二馬茂作成名義の「報告並びに依頼書」、「同(追加)」と題する各書面は、いずれも破産会社がその作成に何ら関与していない、抗告人或いは抗告人の職員が作成した抗告人側のみの確認或いは届出等の文書であつて、その内容を検討するも、いまだ、叙上説示の「担保権存在証明文書」にはあたらないというべきである。

次に、破産会社作成名義の残高確認書写は、本件売買前の昭和五九年三月末日現在における抗告人・破産会社間の売買取引の残高に関する内容のものにすぎず、やはり、叙上説示の「担保権存在証明文書」にはあたらない。また、株式会社クラレ(以下「クラレ」という。)作成名義の「(株)クラレ出荷データ受入れリスト」と題する書面(出荷案内書写に相当するもの)、同確認書(抗告人取締役作成名義の「御確認依頼書」と題する書面に対応するもの)は、クラレ・抗告人間における本件物件の売買並びに本件物件がクラレから第三債務者に直送された事実を確認する旨の内容のものであつて、本件売買の事実を証するものではなく、叙上説示の「担保権存在証明文書」にはあたらない。さらに、第三債務者作成名義の確認書(抗告人絹業部絹化合繊課長作成名義の「御確認依頼書」と題する書面に対応するもの)は、債務者・第三債務者間における本件物件の売買並びに本件物件がクラレから第三債務者に直送された旨を確認する旨の内容のものであつて、本件売買の事実を証するものではなく、叙上説示の「担保権存在証明文書」にはあたらない。

(後藤静思 奥平守男 橋本和夫)

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